こんにちは。姶良市・霧島市の葬儀社 天国葬祭の元山です。
葬式に参列する際「着物を着たほうが良いのではないか」「自分の立場で着物を選んでも問題ないか」と服装で迷う方もいると思います。
日本古来の正装である着物は、弔事において最高位の礼装とされてきました。
ただし、すべての参列者に適した服装というわけではなく、故人様との関係や参列者の立場に応じて使い分ける必要があります。
今回は、葬式で着物は誰が着るのか、葬式に着る着物の種類と選び方、着る際の注意点について詳しく解説します。

葬式で着物は誰が着る?
葬式で着物を着るかどうかは、故人様とのつながりの深さや参列者の役割によって判断されます。
喪服は、葬儀での装いの中で最も格式が高いため、基本的に故人様の身内にあたる方が着用します。
喪主を務める方、故人様の伴侶、お子様、ご兄弟姉妹といった、血縁関係で1親等から3親等の範囲にある近しい関係の方が対象となります。
着物の喪服に性別による制限はありませんが、一般的には女性が着物を選ぶケースがほとんどです。
男性の場合、着物の着用で場の雰囲気が重厚になりすぎるということから洋装を選ぶ方もいらっしゃいます。
血縁関係以外での着用例
血縁関係にない方でも、花道や茶の湯、舞踊などの指導者として日常的に着物に親しんでいる方、または和服販売に携わる方などは着物を着ることがあります。
着物を着用する場合、お通夜の席では格式を落とした略装を選び、告別式では正装で参列するという使い分けを行います。
ただし、一般的には、ご遺族ではない参列者が葬式で着物を着用するのは控え、洋装を選ぶのが良いでしょう。
一般の参列者が着物を着用すると、人目を引いたり、華美だと捉えられたりする可能性があります。
また、「着物=ご遺族や親族」というイメージを持つ方が多いため、他の参列者にご遺族や親族と間違えられてしまう可能性もあります。
ご遺族が洋装を選択しても良い
最近では、ご遺族も洋装を選ぶことが一般的です。
その理由としては、着物の喪服を所有していない、着物での動作に不慣れなどが挙げられます。
また、慣れない着物で長時間過ごすのは負担が大きいという理由もあります。
葬式の服装やマナーについては以下のコラムを参考にしてください。
葬式の服装の種類やふさわしい服装とは?身だしなみ・マナーもご紹介
葬式で着る着物の種類と選び方

葬式で着物を着ることになった場合、格式やマナーも重要です。
葬式で着用する着物の種類や選び方をご紹介します。
格式による着物の分類
着物の礼装の格式や、それぞれどのような方が着るのかについて説明します。
正喪服(五つ家紋入り)
最上位の格式を持つ喪服で、背中央部と両袖後部、両胸部の合計5箇所に家紋を配置した黒い着物です。
着物から帯、小物類まで全体を黒色で統一します。
喪主や葬儀委員長、ご遺族、血縁関係が2親等から3親等以内の親しい親族が着用する格式です。
準喪服(一つ家紋または三つ家紋入り)
落ち着いた寒色系で一つまたは三つの家紋を施した着物で、「色喪服」「色紋付」などといわれます。
喪主を除くご遺族や親戚の方々が、お通夜から一周忌までの期間に着用します。
喪主も一周忌後は、法要を重ねるたびに準喪服の格式に移行していきます。
略喪服(一つ家紋または三つ家紋入り)
控えめな寒色系の一つまたは三つの家紋を入れた着物で、個人的な弔問や三回忌以降の法要で用います。
なお、ご遺族が洋装の際は着用を控えることが望ましいでしょう。
これは、略式であっても着物自体が高い格式と見なされるという理由からです。
季節に応じた着物の選択
着物には気候に対応した種類があり、時期に応じて適切に選び分ける必要があります。
10月〜5月の期間:袷(あわせ)仕立て
裏地を施した袷仕立ての着物を着用します。
最も一般的な仕立て方で、気温の低い季節に適したつくりです。
6月・9月の期間:単衣(ひとえ)仕立て
裏地を省いた単衣仕立ての着物を着用します。
気温が上がり始める時期に適した軽やかな仕立てです。
7月・8月の期間:薄物(うすもの)仕立て
通気性を重視した薄物仕立てを着用します。
絽(ろ)や紗(しゃ)といった透け感のある素材で作られ、最も暑い時期に対応した仕立てです。
喪服の家紋について
未婚の女性が喪服を新調する際は、生家の家紋を入れることになりますが、婚約済み、または既婚の女性については、配偶者側の家紋を使用することになります。
レンタルする場合は、桐紋や梅鉢紋といった汎用性の高い家紋が用いられており、これらから選択すれば問題ないでしょう。
葬式で着物を着る際の注意点
葬式で着物を着用する際には、注意点やマナーがあります。
故人様への敬意を表し、厳粛な場にふさわしい装いをすることが大切です。
近年、男性が葬式で着物を着用することは少ないため、女性の着物についてのマナーや注意点をご紹介します。
着付けのマナー
襟の合わせは深く取り、半襟を1cmから1.5cmの範囲に収め、襟抜きは指2本から3本分程度に抑えます。
葬式では肌の露出を最小限に留め、慎ましやかに見せる着付けを行いましょう。
一般的に格式の高い着物には袋帯を合わせますが、葬儀では「悲しみが重ならないように」という願いから、一重太鼓の黒い名古屋帯を用います。
髪型・化粧のマナー
髪型は華やかさを避け、慎ましく清楚にまとめることを心がけます。
髪が長い方は、ヘアアクセサリーの使用は控え、もし使用する場合は、黒やパールの地味なものを選びましょう。
化粧は控えめにし、アイメイクやリップの色味もナチュラル系で抑えます。
ラメなどの光沢感のあるメイクは避けましょう。
準備すべき小物や持ち物
葬式で着物を着用する際に必要な物や持ち物をご紹介します。
【着物・帯】
- 黒の弔事専用着物
- 喪服用の黒い帯
- 黒の帯上げ・帯締め
- 白の長襦袢・半襟
- 襟芯
【下着関連】
- 肌襦袢
- 白い足袋(留め具である「こはぜ」は4枚が標準的)
- 裾除け
【着付けに必要な小物】
- 補正用タオル類
- 帯枕(1個)
- 前板(1枚)
- 伊達締め(2本)
- 腰紐(4本から6本)
着付け時には、これ以外にもコーリンベルトやウエストベルトがあると便利です。
着物を着用する場合は、黒の着物用バッグと黒の草履を合わせます。
バッグは、金属部分が控えめな非革製品、草履は光沢感のないものを選んでください。
葬式で着物は誰が着るかを理解して適した服装選びを
着物の喪服は格式の高い礼装として、主に故人様のご遺族や近しい親族が着用するものです。
一般の参列者は着物は控えるのが無難ですが、日常的に着物を着用することが多い方は、着物での参列も問題ないでしょう。
近年は、ご遺族であっても、体調や動きやすさを考慮して洋装を選ぶケースが多いです。
着物の格式は、正喪服(五つ家紋入り)、準喪服(三つ家紋または一つ家紋入り)、略喪服(一つ家紋または三つ家紋入り)の種類があります。
季節に応じて袷、単衣、薄物を使い分けましょう。
着付けや、髪型、化粧は洋装の場合と同じく、華美になり過ぎないことや、露出を控えめにすることなどを意識してくださいね。
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